傷の行方
一緒にいる時たまに



誰かから彼の携帯に電話がきていた



彼は「はい わかりました」



と言って



「ごめん ちょっと家に戻るね」と



家に帰ったりしていた



私は今誰もいなくて



ガス屋さんとか



水道屋さんが来ているのかなとか




勝手にそういうことを想像していた



そして少しすると車をとばして



彼は戻ってきて



また遊ぶということが多かった



彼の卒業した大学を見せてもらったり



大学はどういうところなのかを聞いたり



論文とはどういうことをするのかを



聞いたり



就職活動の勉強があるとか



初めて聞く話が多くて



いつも何か新しい発見をしていた



その度に



今思えばその



変な行動をかき消されて




何もなかったように過ごしていた


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