傷の行方
彼の携帯が鳴った



ごめんねと言って電話をとると



また




「そうですか 申し訳ありません



これから戻ります」



と言っていた



私は気になって仕方なく



「誰からの電話?」



と聞いてみた



すると


お父さんからの電話だという




親に敬語で話すなんて私は驚いた



すると彼は



「びっくりするよね ごめん」



と言った



「不思議な家族なんだね」というと



「俺にとっては



生まれた時からだから



不思議でもなんでもないんだけど



やっぱり不思議に思うよね」



と悲しそうに言った




私は「別に色々だよ」と笑った



けれど心のどこかで



私の何かが苦しくなった



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