傷の行方
そういって私の顔をなぞっていた



私は涙をこらえて


その手を振りはらった


「やめてよ 順番なんかつけないでよ



二番なんてないよ



私なんかすっかり忘れちゃって



一番好きな人と結婚するからね」



と言った


すると彼が


「結婚願望あったの?」と聞いてきた




そうか彼には何も言っていなかった



「あったよ 私が結婚したいと



初めて思った人がこの人だよ」と



彼の手を握った


彼は驚きそして手を強く握り



「気がつかなかった どうしてもっと早く」


と言ったけれど


「言ってもどうにもならないことは言わない



そういう性格って知ってるでしょう」と


笑って手を離した



「俺は愛されていたんだね」といいながら



今気がついたように泣いてしまった

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