傷の行方
私は2人のことを詳しく知るために


現場の仕事が終わってから


会社の上司と都内のカフェで


待ち合わせをして


話を全部聞いた


私のせいで彼女が婚約を破談にした


「主任が権力を振りかざし


君をクビにするまでは


婚約はしないと彼女に言われて


彼は狂ったように君のことを


何も知らずにあげ足取ろうとしているから


気をつけて」


ということだった


私は完全にこの世界に絶望した


私が生まれ育った世界と何も変わらない


それどころか


けじめも情けもない


実はもっととんでもない非社会的組織なのは


この世界なのではないかと


20代前半で知ってしまったような気がした




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