傷の行方

ひとりきりの部屋

彼が出ていった家



会社から帰宅して



待っても 待っても



彼は帰ってこない



毎日私は家で



禁止されているお酒を飲んだ



仕事をして



生活をするだけで



私の人生になにもなかった



なにもいらなかったのかもしれない



夢も諦めたし



家族が幸せになってくれるなら



彼が幸せになってくれるなら



それだけを祈った



季節が変わる頃



仕事をするために薬を飲み



薬を飲み生活をするために


仕事している自分に


なんの意味があるのか


わからなくなっていた



私は自分を傷つける行為を



し続けていた





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