傷の行方
高校卒業
私は高校を中退した


なぜか中学の卒業アルバムが出回り



私の写真を観てから


クラスメイトが皆


敬語を話すようになり


頼んでもいないのに



鞄を持ったり



座る時に椅子を引いたり


入学式の次の日から


ずっと違和感を感じていた



別に私は特別ではない



3年になる前に


先生から留年の話がきた




出席日数が足りなかった



私の心は身体を支配し


病気になってしまった



高校へと向かう電車の中で


吐き気がしたりし始めた



私の高校は定時制もあり


その定時制の先生と仲がよかった


その先生に



「お前はここにいる高校生とはちがう



もう、お前は社会に出られる」



やっかいものを切り離す言葉なのかと思った


でもそうじゃなかった



高校生活が合わない人間もいるんだという事を



細かく説明してくれた



高校で才能をダメにする生徒も


いるんだってことを



それでも私は留年をしてでも



高校くらい卒業したいと思っていた


けれどやはり


身体が動かなくなってしまった



3年通って2年生の終わりで


私は高校を辞めた



このことが就職に響くと


親や家族に反対もされたけれど



今のところ



4年生の大学卒業ではないと


入れない会社に


掃除のアルバイトから正社員になり


仕事には恵まれた



人間関係はどんどん悪化していた



それでも良かった



私には夢があったからだ



まさか その夢を


諦めなければならなくなるなんて



思っていなかった



18歳だった
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