傷の行方

突然の出来事

私は結婚願望というものがない



まったくないのだ



結婚が幸せだと思えないから



子供が産めない身体だし



ずっと結婚なんかと思っていた



でも この人となら



結婚して幸せになれるかもしれない




そう思い始めていた



彼は私をきっと幸せにしてくれる



私もきっと彼を幸せにできる




結婚願望がないという話は



彼にしていた



それについて



あまり驚いてはいなかった



ずっとこんな風に



手を握って 歩きながら



笑いあったりしてみたかった



彼といる時は本当に



笑顔が絶えなかった



何も話さないで景色をみているだけでも



ただ黙ってドライブをしている時も



愛されていると感じていた



今まで感じたことのない感情だった



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