1分ほどたってから、医者とナースは部屋に入ってきた。


「おお・・・奇跡だ・・・」


医者は驚いた顔をした後に、すぐ顔をしかめた。



「・・・でも・・・先生・・・」

「あぁ、そうだな・・・この子の親に連絡してくれ」

「はい・・・」


辛そうな顔をして、ナースは部屋から出て行った。



2人きりになった病室に、医者の声が響いた。



「楓ちゃん・・・翔君は、もう長くない」

「え・・・なんで・・・?」

「とても、重症なんだ」

「そんな・・・」



あたしの目からは、止め処なく流れ落ちる涙が、あたしの視界を見えにくくする。


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