彼のぬくもり

            ~楓~




彼がいなくなって、約一週間が経とうとしていた。



ピ~ピ~~~~~ピ~~♪




リビングいっぱいに鳴り響く電話の音―――




だるい体を起こして、受話器をとった――――




「もしもし・・・」


なんともだるそうな声だろう・・・


「あ、楓ちゃん?こんにちは翔の母です」


ええええ!!?翔のお母さんだったんですか!?

「あ、すいません!!こんにちは」

さっきより明るめに話したソプラノの声は以外にも、透き通った声だった。



「あのね―――渡したいものがあるの」



「なんですか?」

「今からそっちに行ってもいいかしら?」


「え・・・はい、いいですよ・・・?」


「そう?じゃあもうすぐ行くわね」

「わかりました」



ガチャっと音を立てて、受話器を置いた――
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