「「「いただきます」」」

みんな揃って合掌だが、俺は一人遅れていった。

「今日はな・・・翔、お前に話がある」

父さんがいかにも深刻そうに話を持ち出してきた。
視線を動かして母さんのほうをみると、さっきとは違い表情が厳しかった。

「なんだよ・・・」

ちょっとためらいもあったから、おそるおそる聞いた。

「あのな・・・翔、お前は・・・明日から・・・学校に行くな」

あまりにも突然で、びっくりした。覚悟はしていたけど・・・まさかこんなに早くこのときが来るとは思ってもいなかった。
あまりにも残酷で、俺の・・・手に持っていた箸が床に落ちた。

―――パンッ―――っと言う乾いた音が耳に、胸に、頭に響いて・・・
動けなくなった。その箸は母さんが拾ってくれた。

「な・・・何いってんの?意味わかんない・・・もう・・・行っちゃいけないのかよ・・・嘘・・・だろ?」

母さんの表情はだんだん泣きそうな顔になってきた。―――泣きたいのは・・・俺なのに――
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