Quiet Christmas.
笑顔を振り撒く亜利哀の母親を横目に、壁によりかかる。
…抜けたい。
「あ、篠原の…。」
「あ?」
眉を寄せて見れば、真っ黒なドレス姿の九条のお嬢がいた。
「なによ?超不機嫌そうね。」
その偉そうな口調は、死んでも直らない。
「疲れた。疲れた、疲れた、疲れた、つ」
「はい、ストップ。」
手を顔の前で振り、もう聞き飽きたという顔をする九条都(クジョウミヤコ)。
亜利哀は目を瞑る。
「やっぱり抜ける。じゃあね。」
ヒラリとすれ違いざまに手を上げる亜利哀を見て都は笑った。