猫の世話は大変です。
1僕らは幼なじみです。
『ゆぅ、ゆぅ~』
甘ったるい女の子の声が聞こえる。
そうだ。彼女はいつもそうやって彼を呼ぶ。どこから出してるんだろう、と何度も思っていた。
少なくとも僕は彼女とあんな声で話したことはない。
つまり、“彼専用”なのだ。
『なぁに?じゅり』
そんなことに気付いていない彼はきっとこれが彼女と認識しているのだろう。
…なんだか哀れだ。
『あそぼ?おほん、よも?』
『うん、いいよ。じゅりはなにがよみたいの?』
昨日僕には“読め”って言ったのに…。
こーゆーのを“差別”って言うのをさっき千暁から聞いた。あいつ、僕より年下なのに…。
“すごいね、ちあき”って誉めてあげたのに、あいつは鼻で笑いながら言ったんだ。
“涼兄さんに言われても、嬉しくないよ”
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