猫の世話は大変です。
――…
あれから一年。
これと言った変化はないなぁ。
俺達が“先輩”っていう立場になったから、当たり前に樹理は下級生のアイドルとなった。
樹理のオーラの関係で中々話しかけたりは出来ないようだけど、イベント時には毎回ツーショットを求めて下級生が押し寄せてくる。
…俺もだけどね!
「勇~、眠いよ~」
まぁ、昨日寝たの遅かったもんね。俺も非常に眠たい。
「居眠りするなよ」
「ん~…無理…」
さっきまで(無駄に)元気だったのに、校門を抜けた瞬間、頭がコックリコックリと揺れ始めた。
うん。歩きながら、寝てる。
「ん?え!ちょっ!樹理!!」
樹理の様子に気付いた勇が慌てて大声を出すが、樹理は夢の中だ(歩きながら)。
「…勇兄さんて、苦労人ですよね」
隣で千暁が不憫そうに見つめていた。そんな顔するなら、助けてあげなよ、と言いたかったが自分の命のためにだんまりを決め込んだ。
だって、千暁怖い。
「お?僕を無視とはいい度胸してますね」
「ひっ!」
「知人から“見たら呪われる”っていうビデオ借りたんですよね」
どんな知人だよ!!
お前の交遊関係が最近分かんないよ!
「昨日樹理に見せようと思ったんですが、普通のホラーであの人大号泣しちゃって」
「俺も…ホラーとか、無理…」
「大丈夫ですよ、涼兄さんなら」
何を根拠に!!!!
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