不良達の姫様。・.*
勇樹から微かに漂う、甘い香水の匂いが心に染み込む。
コクンっと頷き、深呼吸をした。
そして、さっきお母さんに告げられた事を、伝えた。
「…お父…さ…んの仕事…関係で…神奈…川に引っこさなきゃ…いけなく…なったの…」
「ぇ…?」
目を見開き、固まる勇樹。
「…あ、明日…の朝…の便でっ…」
イヤだ。
イヤだよ…。
「…離れたくないよっ…」
勇樹のシャツをギュっとにぎった。
「……俺だって…。
…莢を…離したくない…」
勇樹の声はどこか優しくて、でも、どこか悲しかった。
その後の記憶はない。
でも、泣き疲れて勇樹の胸の中で寝たらしい。