不良達の姫様。・.*
まだ寝ている勇樹を起こさないように、部屋を出た。
勇樹のお家を出ると、お母様が立っていた。
「お母様…」
相変わらず、豪華な服を身にまとい、
とても、目につく。
思わず、目を逸らしてしまう。
「莢…」
――お母さんが苦手だ。
多分これから先も、好きにはなれないと思う。
その時、丁度自家用車が迎えに来た。
それに乗り込み、流れてく窓の外に目を移した。
記憶を遡る。
保育園のころ、よく泣いてたっけ?
そしたら、勇樹とヒロ兄が抱きしめてくれたよね。
幼稚園の頃は、竹馬やって転んで、傷つくってたっけ?
そしたら、勇樹とヒロ兄が『イタイイタ~イ! 飛んで行け~』って言ってくれたよね。