不良達の姫様。・.*
小学校の頃は、制服のスカートめくられたっけ?
恥ずかしくて泣いた時は、
勇樹が男子の制服のズボン下げちゃったんだ。
あの時の、男の子の顔まだ覚えてる。
中学生の頃は、よく忘れ物した。
勇樹が忘れたの貸してくれたんだよね。
全部、全部。
勇樹とヒロ兄との思い出ばっかり。
「奥様、莢様、お着きになられました」
その声で、現実に引き戻されたあたし。
「どうも」
お母さんはスグに降りて行った。
「今まで、ありがとうございました」
あたしもそれに続いて、降りる。
受付を済ませ、エスカレーターに乗ろうとした時、
「…や~!!!」
小さいけど、力強く――
「莢っ!」
少しハスキーがかった声。