不良達の姫様。・.*





「……なんで起こさなかったんだよ」

いつもと違い、か細い声の勇樹。


「…ごめん。

見送られるの苦手だから…」


体中から感じる体温が温かくて――

「…俺な、昨日泣いてる莢を見て思ったんだ…」


このまま、離れたくなくて。


「うん……」


勇樹と離れるなんて、
頭の片隅にしかなくて。


「自分の気持ちを言おうって…」

勇樹は、悲しそうな顔をした。


「――俺。
いつもの莢も、舞蝶になった莢も。

……莢の全部がスキだ」


…え?

勇樹の気持ちに、
全然気付かなかったあたしが――


「でも、あた…「知ってる」」


憎くて。
恨めしくて。




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