八つの想い

喧嘩好きで孤独でポーカーフェイスな蓮。

都会から引っ越してきて、周りとのかかわりを避けてきた。

そんな蓮だけど。

こんな顔を見たのは初めてだ。

「蓮?」

私はもう一度呼んでみる。

「今、あそこにー・・・。」

ボソボソッ

と今にも泣きそうな顔で呟く。

「えっ・・・?」

私はそんな蓮に戸惑いながら聞き返そうと試みる。

「っ!?」

バッ

だが、それは蓮自身に遮られてしまう。

「・・・悪い。なんでもない。・・・悪かった。」

私は目を瞬かせて横を過ぎていく蓮を見つめる。

「こころ?」

傍には志摩が立っていた。

私よりはるかに高いその身長を羨ましがった。

そんな彼女を見上げる形で返事する。

「ごめん。私も受付すませてくるねっ!」

慌ててそこへ向かう。



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