envyⅠ

「え?ココで何を買うんですか?」
訳が分からなかった。

「ほぼそのままで来たから留美ほとんど服持ってないだろ。
まぁ、お前は今持ってるやつでいいよな」


たまたま隣にいた信吾さんが答え、向こうでこれすっごく可愛い!!と、たくさん服を抱えはしゃいでる留美の方に行ってしまった。


唖然とした。


じゃあ、私連れてくる必要ないのに。
何のための、私?

別に買って欲しいわけじゃないけど、見せつけるようなことしなくていいのに。
すっごく嫌な気分。いたたまれない。つらい。


ひとり取り残された私は、やることもないので向こうにあるイスに座って
憂鬱な気分でぼーっと優さんたちを眺めてた。


ひどい疎外感と留美との差を嫌という程感じた。

自分が惨めでため息がでる。
ここで上手くやっていく自信がない。だって、こうもありありと妹との差を見せつけられるともういいじゃん、やめてよ。って言いたくなる。そんなこと言えないくせに。


座ってずっと待ってるのは退屈で、それなりにきつかった。
商品を見たりしたけど、全然楽しくなくて。
いつもなら可愛いと思えるワンピースも今は全く可愛いと思えなくて気分は沈んだままで。


時々顔をあげると優さんと目があったりして、それがすごく気まずかった。その度にふい、と視線をそらされるのに、しばらくするとまた目があう。
じっと見られているようで、皆と離れて一人でいるこの現状が、とても恥ずかしかった。




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