envyⅠ


「失礼します、お持ち致しました。」 ドアの向こうから聞こえる業務的な声。

自分が出ていいのか、と迷ったが、咲弥さんが出てくる気配が無いので、おずおずとドアを開けた。
ドアの前の人は私にすっ、と四角い箱を手渡し 「では、ごゆっくりお楽しみ下さい」とこれまた業務的な笑顔で、一礼し去って行く。

私は手渡された箱を壁のそばの円形テーブルに置いた。
この壁は外側に面している一面だけ、ガラス張りになってて。 だからここでも花火が見えそう。

今頃留美達はどうしてるのかな、なんて眼下に広がる夜景を眺めながら思った。



「サキちゃーん、バスタオルとって」
壁のせいで、こもった咲弥さんの声が聞こえる。どうやら、シャワーを浴び終わったらしい。


タオルってどこ!?って慌てて周りを見渡して
棚に積まれてる白いバスタオルを見つけた。ふわふわのそれを掴んで浴室に向かう。



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