envyⅠ
正直なところ、好きとか嫌いとか考えたことなかった。
ていうより、自分は妹を嫌いだなんて思う姉だと思いたくなかった。
だからって、今更考えるつもりはない。 そうやって、留美について考えないのは、多分。
私は留美を好きだと胸を張って言えないから。 どっちかって言うと、嫌い寄りかもしれない、なんて思ってるから。
「ふーん、 まぁええわ」
私の答えにがっかりしたような、つまらなさそうな目。
「……?あの、まだ留美が好きなんですか?」
まだ好きなの?なんて普段なら妹の元彼にこんなこと、絶対聞かない。
だけど、すごく不快な思いをしたから何かしら言い返さないと収まりがつかなかった。
だってあれは私の中のコンプレックスで。触れられたく無いところで、そんな事どんなに無神経でも気づくはずなのにそれをあんな風に言われたのが許せなかった。
仕返しのつもりで、あんたまだ好きなの?いまだに引きずってるの?って。
だけどこの人は、私の質問をフッと鼻で馬鹿にするように笑った。
「好き、ねぇ………」