envyⅠ




「…あ、そろそろ着くんちゃう?」

留美についてもっと話を掘り下て聞こうとした矢先に言われた。 見ると、見覚えのある場所がちょこちょこ視界に映る。

…タイミング悪いなぁ。
それから暫くして車が留まった。


「そこの角、曲がってちょっと行ったとこに優さん達おると思うわ」
そう私に伝えて車は行ってしまった。



留美、あの人とも付き合ってたんだ、いまいち意味のわからない人だったな。咲弥さんほどではないけど。




曲がり角を曲がった先に人だかりが見えた。
たぶん、あそこにいる。


少しずつその集団に近づくと、ゆいとくんや留美の声が聞こえてきた。

近くまで来たものの、私はこの集団を押しのけて進むことが出来ない。
力の問題ではなく、精神的な問題で。


どうすることも出来ずに集団の外から見ていると、


「さきさん遅いですね、そろそろだと思うんですけど…。
迷ってるかもしれないんで僕ちょっと見てきます」
というゆいとくんの声が聞こえ、道のような空間がばっ、と開いた。


その空間からとたたた、と小走りのゆいとくんが出てくる。
せっかくゆいとくんは集団から離れたのに、人々の視線を大量に小さい体て浴びているから声をかけられなかった。
変わりに気づいて、と必死に念を送る。
それが効いたのか、ばちっ、とゆいとくんと目があった。

私と目があうと、ふわぁ、と天使のような笑みをくれた。



「よかった!ちょうど今から探しに行こうとしてたところなんですよー!!
花火始まっちゃいましたけど、まだ残ってますから大丈夫ですよ」



私はゆいとくんの少し後ろを歩いてついていく。
すると集団の中心にいる優さん達の姿が見えた。

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