envyⅠ
後ろから、おいっ、勝手にでていくんじゃねーよ 。
って慌てる声が聞こえたけど、もうふりかえれない。
夢中でかけ足ぎみに歩いていると誰かに見つかって、私は呆気なく捕まった。中性的な顔立ちの、綺麗な黒髪をした、メガネの人に。
「…君昨日来た子?何でここにいるの?」
「…………」
「なんでか知らないけど、早く戻りなよ」
急いでいるのかぱっ、と解放され、フイともときた場所にもどっていった。
なんていうか、男の人なんだけど美人で艶やかって感じだった。決して男らしいがっちりしたタイプじゃない。線が細くて、儚そう。でも中性的とは少し違う感じの。
これ以上歩きまわるのもこわいから、戻りづらいけど、私も元来た方向にもどろうとした。