浴衣と花火大会 ~ナツコイ~
「ホント、バカップルだねー」
笑って言う夏音に、
すかさず莉花の冷たい視線と
声が飛ぶ。
「”バカ”ップル?」
あえて”バカ”の部分を強調して言う。
そして、冷めた笑顔だった。
目が笑っていない。
そんな不機嫌そうな声と目は、
”バカな夏音がバカって言うな。
しかも、あたしはバカじゃないし”と
言っているかのようだった。
実際、莉花は頭がいい。
クラスでは常にトップだし、
学年でもトップに近い。
対して、夏音は頭の悪さなら
クラスの女子でトップだ。
ちなみに、私はいたって普通。
常に平均だ。
「”ラブラブ”カップル、だね」
夏音の代わりに私が言い直すと、
夏音は満足げに笑って頷いた。