桜ノ籠 -サクラノカゴ-
「伽羅ちゃん?どうした?」
「ーーえっ…?」
顔を上げると、
テーブルの向かいで、青磁先生が心配そうに、私をみていた。
テーブルの上には、カレーとトマトのサラダがある。
ハッとなり、青磁先生と夕ご飯中だった事を思い出す。
「す、すみません…。何でもないです」
慌てて答えたけど、あの蒼紫色のピアスの事ばかり、考えてしまう。
「何でもない、って顔じゃないな」
ドキンーー……
相変わらず、青磁先生には敵わない。
でも、
青磁先生にだからこそ、
聞くことが出来ない……。
聞きたくない……。
この気持ちは、なに……?