桜ノ籠 -サクラノカゴ-
♢
『ーーでね、やっぱり海外赴任になったわ。ロサンゼルスだって』
「スゴいじゃない!お母さん」
学校の帰り道、
買ったばかりの携帯に、お母さんから電話がかかってきた。
『でもさー、やっぱり伽羅おいて行くのが……』
「私は大丈夫。藤川のおじさんおばさんも心配しないで行ってこい、って言ってくれてるんだから」
『まぁね、青磁君と一緒なら心配ないか』
ドクン
青磁先生の名が出た途端、
ピアスのことを思い出した。
『伽羅?どうかした?』
心配そうな、お母さんの声。