桜ノ籠 -サクラノカゴ-
「お?伽羅ちゃん、おはよう」
覚えのある声が頭上でして、ぼんやりと目線を向けた。
そこには、焦茶色の髪に端正な顔立ちの男の人が、
「茜姉がもうすぐ朝ご飯できるって、一緒に食べよう?」
覚えがある顔。声。
夢じゃ…なかった。
そう云えば、茜さんと何か話してて…
少しずつ憶い出す。
この家に来て、私の事を心配してくれたおじさん、おばさん、
そして茜さん。
苦しい時、傍にいてくれた。
桜を、見せてくれた…