桜ノ籠 -サクラノカゴ-
熱を帯びる想い
青磁先生と二人になったリビングは、
あの女の人がいた時とは違う、居心地の悪さを感じた。
自分の部屋にこもってしまいたいけど、
身体が動かない。
青磁先生と私に流れる空気が、私を動けなくさせる。
きっと、青磁先生は怒ってる。
そう思うと、怖くて、顔を上げる事も、動く事も出来なかった。
「…とにかく、シャワー浴びておいで伽羅ちゃん。夏とはいえ、雨に濡れたままじゃ体に良くない」
そう言いながら、青磁先生は自分の頭をタオルで、ガシガシ拭いた。
「……青磁先生、お先にどうぞ…」
小さな声が、呟く様な言葉になる。