桜ノ籠 -サクラノカゴ-
そんな風に、ぼんやりと思っていたら、近づく足音が聞こえてきた。
その足音は、私の近くで止まり、
「伽羅ちゃん」
再び、青磁先生の声がした。
私は少し驚き、声の方を見上げる。
そこには翠色のお盆を持った青磁先生の姿。
「…どうして…」
思わず、そう呟いた。
「ん?いや、おなか空いたろーな、と思って」
そう云うと、青磁先生は縁側で横になる私の頭の方に腰掛け、私と青磁先生の間に翠色のお盆を置いた。
そこには、二人分のおにぎりとお茶。