桜ノ籠 -サクラノカゴ-
「伽羅は今15?」
何とか気持ち落ち着けて、着替えて居間に戻ると、
“お兄ちゃん”が聞いてきた。
「あ、はい…15歳。中3です」
「じゃあ、受験生か。どこ受けんの?」
「…常葉高」
「へー、頭いーんだ。あ、オレ17歳。成佳学院の高等科2年ね」
成佳学院…、そっちの方が頭いーじゃない…。
キッチンでお母さんのいれてくれたココアを受け取り、居間をキョロキョロと見渡した。
いつも私が過ごす白い大きなソファには、
“お兄ちゃん”がいる…
私は自分の家だというのに、
どこにいたらいいのか分からず、落ち着かなかった。