桜ノ籠 -サクラノカゴ-
「何ウロウロしてんだよ、こっち座れよ。伽羅」
“お兄ちゃん”はソファを指差し、うろつく私を面白そうに、笑った。
「あ…はい…」
てか、なんでそんなにくつろいでんの?
なんで私が自分の家で、落ち着かなくなってるのよ?
納得出来ない!
と、思いつつも、
いわれるままコーナー型のソファの端っこに、私は座った。
はぁ…気小さいな、私…
「…なんでそんな離れんだよ?嫌われてるわけ?オレ」
「そんな事はないですけど…」
嫌うとか、そんなことの前に、よく知らないし…
「なぁ、その敬語、何とかならない?堅苦しいんだけど」
珈琲を飲みながら、“お兄ちゃん”は呟く。