桜ノ籠 -サクラノカゴ-
「…堅苦しいって言われても…年上だし…“お兄ちゃん”だし…」

「一般的に、妹は兄に敬語使うか?使わないだろ?」


「…そういわれても、突然現れて“お兄ちゃん”だから親しくしろ、って無理に決まってる。
だいたい、何であなたはそういう風に出来るのか、そっちの方がわかんない」

思い切って、言った。

すると、


「オレは、決めたからな…。これからは母さんと伽羅と一緒に、歩んで行く、って」


真っ直ぐに、私を見てそう告げた。



“お兄ちゃん”の眼が真剣で、あまりに綺麗で、目が離せない。


「ひとつずつ、決めていくか」

「え?」

「オレ達がこれから一緒に過ごすためのルール」

「ルール?」

「そ、まずは呼び方だな。オレはお前の事伽羅って呼ぶぞ。いいか?」

「…はい」
って、最初からそう呼んでたじゃない。


「伽羅はオレの事何て呼ぶ?」

言われて、


…沈黙…



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