桜ノ籠 -サクラノカゴ-
「ってー、何すんだよ、いきなり…」
頭を擦りながら、青磁は茜を見た。
「何してるはこっちのセリフよ!あんた伽羅ちゃんになんて事を!」
茜は、制服の常磐色のリボンがほどかれ、シャツの釦が少し外れた伽羅を、青磁から奪い取った。
「せっ、青磁!あんた、伽羅ちゃんに何してんの!
寝てる伽羅ちゃんにこんなッ…」
怒りながら、涙目で茜は叫ぶ。
「あー…、落ち着け、茜姉。俺は雨で濡れた伽羅ちゃんを着替えさせようとしてただけだ」
「な、なぁーんだ、そうだったの…。って言うわけないでしょ!」
パコーン、
と、再び青磁の頭をスピッパで引っ叩く音が、
部屋に響き渡った。