桜ノ籠 -サクラノカゴ-
「どんな理由があろうと、寝てる女の子にオトコがそんな事していいわけないでしょ!タオル貸しなさい!私がするから!」
「そ、んじゃ、頼む」
「ったく、これだからオンナ慣れしてるオトコは…」
「おい、茜姉、誤解を招く言い方はやめろ…」
グッタリした青磁は、伽羅を茜に預け、煙草の箱をポケットから取り出した。
「あら、真実でしょ。どこがいいのか、あんた昔からモテてたもんね」
信じられない、と付け加え、
茜は伽羅を抱え立ち上がる…
が、
「お、おい…、茜姉、腕プルプルしてんぞ」
「う、うるさい!寄るなケダモノ」
ヨタヨタと伽羅を抱え歩く茜。
何とか伽羅の部屋に向かう、が、
フッ、
と、茜の腕が軽くなった。
「伽羅ちゃんの部屋までは俺が連れて行く。その後は、茜姉にまかせる」
火の点いていない煙草をくわえた青磁が、
伽羅を両腕に優しく抱えた。