桜ノ籠 -サクラノカゴ-
その様子を見て、
茜は、目を奪われた。
伽羅を見る青磁の優しい目、
伽羅を抱きかかえる優しい仕草、
「茜姉、新しいタオル、伽羅ちゃんのベットに敷いて」
「あ、う、うん…」
呼ばれ、
茜はハッとなり、洗面所に向かう。
伽羅のベットに新しいタオルを敷き、
青磁がその場所に伽羅をおろし、寝かせた。
「あとは頼んだ、茜姉」
そう言うと、
青磁は部屋から出て行こうとする。
「あっ、ちょっと…」
「ん?」
煙草をくわえた青磁が、呼び止めた茜を振り返る。