桜ノ籠 -サクラノカゴ-
遠く、遠くで人の声がする。
でも、それも、私の中で流れ、通り抜けていく。
ただ、それだけ。
「ーーあれ?先客がいた…」
驚いた様な声が、近くでした。
でも私は、反応する事なく、眺める。
咲き誇る桜を。
「ちょっと青磁、伽羅(きゃら)ちゃんにちょっかいださないで」
「茜姉、この子…お客さん?」
「水無月伽羅(みなづききゃら)ちゃん。16歳高1。私たちのハトコよ。つまり、母さんの従妹の娘」
「ハトコ……初めて会う、よね?伽羅ちゃん」
私の名前…呼ばれた…?