桜ノ籠 -サクラノカゴ-

なんだか、その仕草が自然で、あたたかくて、
私はあれこれ難しく考える事なく、持たされたおにぎりを一口食べる。



 あたたかい。

 優しい味。



久し振りに、ちゃんと食べるゴハンだった。
自分で食べて、美味しいと、感じる。


 ただそれだけ。


それだけだけど、久し振りだと感じる。

それほど、私は、遠く、遠くにいっていたのだ…


ゴハンを美味しいと感じることもなく、

人の笑顔をあたたかいと感じることもなかった…。



 つい、さっきまで…





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