桜ノ籠 -サクラノカゴ-
 ーー2years agoーー

  ♦

「きーてよ、伽羅ー!コータとケンカした~」

学校に着くと、同じクラスの咲耶ちゃんが抱きついてきた。



「昨日コータと帰ってたらさ、途中でサッカー部の連中と会って、コータってば、私より部活の連中とばっか話してたんだよ~」

ヒドいよね!と咲耶ちゃんは私に同意を求める。


「…う、ん…。でもホラ、何か用事があったのかもしれないし」

「用事~?彼女よりも大事な?」

「う…」

私が言葉に詰まっていると、


「おい、咲耶。いーかげん水無月から離れろ。恨まれるぞ、色々と」

振り返ると、黒い短髪に緩く制服を着崩した男子がいた。


「コータ君、」

私が呼ぶと、よっ、と片手を上げ、応えてくれた。


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