桜ノ籠 -サクラノカゴ-
 ーーNowーー

 ♢



「青磁、終わったわよ」

茜が伽羅の着替えを終え、リビングに戻ってくると、
シャワーを浴びラフな藍色のTシャツに着替えた青磁が、窓際で煙草を吸っていた。

濡れた黒髪から、雫がポタポタと落ちている。


「髪ぐらい、ちゃんと乾かしなさい」

茜は新しいタオルを持ってくると、
青磁の頭に掛けた。


「…あ?あぁ…ありがとう」

ぼんやりと青磁は一言礼を言うと、掛けられたタオルで髪を拭いた。


拭きながら、
「……伽羅ちゃんの様子は?」

くゆる煙草の煙を見つめたまま、
静かな口調で茜に尋ねる。




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