桜ノ籠 -サクラノカゴ-


「眠ってる…。ううん、ただ眠っているのとは違うわね…。
時々、苦しそうに…、和季君の名を呼んでる…」


青磁のくゆる煙草の煙が、揺れる。

茜の言葉に、
青磁は視線を落とす。



そんな青磁の傍に歩み寄る茜は、


「そして、青磁、あんたの名もー…」


まっすぐに青磁を見て、
茜は告げた。


くゆる煙が、大きく揺れ、
青磁は茜を振り返る。



「俺の、名もー…?」




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