桜ノ籠 -サクラノカゴ-
ー記憶の欠片ー 十六夜
ーー2years ago--
side 和季
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「青磁先生!」
見慣れた背中を廊下で見つけ、オレは声をかけた。
「お、一宮」
オレの声に応え、青磁先生は振り向き、立ち止まる。
青磁先生はオレのクラスの副担任。
歳も他の先生よりオレ達に近く、話しやすい。
生徒の兄貴的存在だった。
「青磁先生、オレさー、住所とか保護者が変わったんだけど、何か書類とか必要?」
「あ?あぁ…、前にお前が言ってた件か?」
「そ、オレ13年ぶりに妹と暮らしてんだ」
昨日や今朝のやり取りを思い出すだけで笑みが零れる。
妹・伽羅、可愛くて、ついからかいたくなってしまう。
反応がイチイチ面白いんだよな。