桜ノ籠 -サクラノカゴ-

「和希っ、やっと見つけた。鞄だけ放り投げて急にいなくなるんだから…。バイト遅れるよ、早く帰ろう!」

瑛李香のキツイ声。


「ワリィ、ちょっと青磁先生に用があってさ」

オレの分の鞄を抱えた瑛李香の頭にポンポンと手をのせた。


「瑛李香はピアノだろ?」
「うん、5時から」

「待っててくれてありがとな」

「あれ?どしたの…和希が優しい…」

オレはいつも優しいだろ、って言いかけて、思い出す。
最近のオレの事…



「…悪かった。最近優しくなかったよな。ーでも!これからは、今まで以上に優しくするからな、瑛李香」

そう言って、オレは瑛李香を抱きしめた。



< 220 / 467 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop