桜ノ籠 -サクラノカゴ-

瑛李香は、初めて聞いた話しに驚き、どうして話してくれなかったと、怒った。

まぁ…無理もない…


「ごめんな。急に決まった事だったし。ほら、オレ親父とうまくいってなかったろ?
再婚と腹違いの弟の誕生で、余計こじれてさ。
で、母親の所で暮らす事になったわけ」

「妹、っていうのは?」
「会うのは13年ぶりだけど、正真正銘実の妹!何、妬いたか?」
「べ、別に妬いてなんか…」

いつもの調子で、言い返して来るかと思ったら、

「…うそ、妬く…。だって、和希と暮らしてるんだもん…」

うつむき、小さな声で零れる声。


オレはそんな瑛李香が愛しくて、抱きしめた。

「ちょっ、だからここ学校!」



今度は、

離してやらなかった。




< 222 / 467 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop