桜ノ籠 -サクラノカゴ-
side 和季
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オレは、学校近くのカフェで高1からバイトをしていた。
早く親父から自立したくて。当時は、学業優先の親父に反対されたが、無理矢理始めたのだ。
母さんと暮らす様になったから、自立準備は慌てなくてよくなったが、少しでも母さんの家計の助けになれば、
と、バイトは続ける事にした。
カフェの外はもう夜の闇。
11月ともなると、夕暮れが早い。
まぁ、もう7時過ぎだしな…と、窓の外を眺めると、
見知った黒髪の女の子。
暗い夜道を一人で歩いていた。
え!
「伽羅!?」
思わずオレは外に出て、呼び止めた。