桜ノ籠 -サクラノカゴ-
「新しいルール?」
「そ。火・木は、塾が終わったら、この店に寄る事。で、8時になったら、オレと家に帰る。いいな?」
「…うん、分かった」
伽羅の強張っていた表情が和らぐ。
「よかった…。ホントは怖かったんだ、いつも…。
だからダッシュで帰ってばっかりだったの」
へへ、と悪戯を見つかった子供の様に、伽羅は笑った。
その表情に思わず、ドキリとする。
うお、可愛いヤツめ。
って、実の妹だって。落ち着けオレ。
「ほ、ほら、中で何か飲んで待ってろ」
店の扉を開け、平静を装い伽羅を中に促した。