桜ノ籠 -サクラノカゴ-

「わぁ、素敵なお店だね!カズ兄のその格好もカッコいい!」

と、オレを見上げる。


だから、その笑顔で上目遣いはやめろ。


「あー、伽羅、そういう仕草はばらまくもんじゃないぞ?」
「ー?そういうって、どういう?」

だから、それだ!その眼!

「いーから、ヘンな虫がついたら困る!」


…困る?オレが…?

ーーあぁ、いやいや!兄として当然の考えだ。

うん。



「何飲む?」

なんかよく分からない感情を振り払い、努めて冷静に伽羅に尋ねる。


「じゃあ、ココア」
「了解」

伽羅は奥の席で英語の参考書を片手に難しい顔をしながら、8時までの時間を過ごした。

オレは、
なんだか気になり、何度も伽羅の方を見てしまった。



心が落ち着かなかった。


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