桜ノ籠 -サクラノカゴ-
ふらふらと、
ハッキリしない頭とおぼつかない足取りでベッドを下りて、リビングに向かった。
夕暮れを知らせる西日が窓からさし込み、部屋をオレンジ色に染めていた。
「青磁…先生…?」
呼んで、静まり返った部屋の中で、思い出す。
青磁先生との、朝のやり取りを。
青磁先生は、
「学校に行って来るから、帰るまで、大人しく休んでいるんだよ、伽羅ちゃん」
そう言っていた。
でも、ずいぶん前の事の様にも思える……。
あれ?
青磁先生と会ったのは、いつだっけ?
今朝のような気もするし、
昨日の朝のような気もする。
なんだか、うまく思い出せない。
立っているのがツラくなって、私はその場に横になった。
フローリングの床は、冷たくて硬かったけど、あまり気にならない。
私、
どうしちゃったんだろう?
ぼんやり、そんな事を考える。