桜ノ籠 -サクラノカゴ-
「青磁…先生…?」
聞いた事のない名前、私は呟く様にカズ兄に尋ねた。
「あれ?伽羅に話してなかったっけ?」
「聞いてないよー、カズ兄の担任の先生?」
「いや、副担。若い先生でさ、話しやすいんだよ。オレの相談相手」
「ふーん…」
納得したようにうなずいてはみたものの、
カズ兄がする相談が何なのか、気になって仕方なかった。
「なんだよ?その疑りの目は?」
「えっ!そ、そんな目してた!?」
心を見透されてそうで、まともにカズ兄の顔が見れない。
「言いたい事、聞きたい事、隠さず話すルール、だろ?」
去年の秋から、
カズ兄と幾つものルールを決めて来た。
その中に、
無理に隠す様な言いたい事、聞きたい事は、互いにしない。
そう、決めたルールもあった。
「む、無理してないから…」
嘘。
ものスゴく気になってる。
この時、無理しないでカズ兄に聞いて、二人で話してたら、何か、変わったかな?
あんな別れは、
なかったのかな?