桜ノ籠 -サクラノカゴ-
「いーのに、吸って。この部屋、煙草いいんだろ?」
「んー?それより、お前の話聞く方が先だな」
「え!オレ別に話なんか…」
「じゃあ何か、一宮は俺に会いに来ただけって?それこそ怖いんだけど」
それは怖い!
けど…
「何となく、青磁先生と話したくなったんだ…」
ポツリと呟くと、
それは教師冥利に尽きるな、
と、青磁先生は、煙草の匂いのする手で、オレの頭をくしゃくしゃ、と撫でた。
全部見透されてる気がする。
兄貴のように、
親父のように、
振る舞う、青磁先生。
オレはきっと、親父とこんな風に向き合って話したかった。
こんな風にーー…
こんな時はーー…
なぁ、青磁先生、
オレ、
妹が気になる、って言ったら、
なんていう?