桜ノ籠 -サクラノカゴ-
「…おっ、“豆大福”。これもらうよ。あと、茶…緑茶あるよな…」
「ちょっとっ青磁、夕飯前に何やってんのよ」
「こういうのは、雰囲気だよ、雰囲気」
「なにそれ?」
少しすると、青磁先生がお茶とお菓子を持って、縁側に戻って来た。
桜の下にお茶とお菓子を乗せた翠色のお盆を置く。
「伽羅ちゃん、豆大福好き?嫌い?」
「……好き、」
どうしたのかな?と思っていたら、
ひょい、と青磁先生に抱えられた。
「ひゃっ…」
ビックリして、恥ずかしくて、見える世界が変わって、
グルグル目がまわる。
ふぁさ、と青磁先生は桜の樹の下、芝生の上に私をあお向けにおろし、
「お花見しよう」
と微笑んだ。